JDPアセットマネジメント株式会社 哲学研究サークル

JDPアセットマネジメント株式会社の哲学研究サークルでは、「資源循環サイクルから目指す持続可能社会」をテーマに勉強会を行っています。

生活排水の再利用~JDPアセットマネジメント株式会社 哲学研サークル

下水(げすい)は、家庭から出る生活排水やし尿を流し、一カ所に集めて処理するシステムです。

字面(じづら)からも「汚れ物」の代表格とされがちです。これを宝の山に変える取り組みを、佐賀市が進めてきました。

■汚泥の堆肥(たいひ)化

佐賀市は2007年、「佐賀市下水処理センター」にたい肥化プラントを建設し、運営を民間委託して同センターの汚泥全量をたい肥化する案を考え出しました。

それまで、汚泥は業者に引き取られてたい肥になっていたが全量とはいかず、一部は焼却処分していました。しかし、そう遠くない昔まで、生活排水やし尿は肥料の原料として貴重な存在でした。家庭から出た有機物は人の手で集められてたい肥となり、田畑を肥やし食物をはぐくんできたのです。つまり佐賀市の試みはいわば、本来あった資源循環サイクルの、新しい形での復活でした。

汚泥たい肥を施した野菜の品質は良好だと言われています。わが身から出たものが巡り巡ってまたわが身に入り、あるいはわが身を運んでいく。環境意識の向上にもつながります。


■し尿や生活排水の再利用の歴史

昔から人類は資源の再利用の大切さを感じ、生活排水やし尿を、肥料として活用してきました。

(1)し尿

日本をはじめとする多くの国で、し尿は「夜土」とも呼ばれ、農業の肥料として利用されていました。

し尿にはアンモニアや他の窒素化合物が含まれているため、土壌にこれを添加することで作物の成長を助けることができました。

特に米の栽培にはし尿が有効で、良質な稲が収穫できることが知られていました。


(2)生活排水

生活排水やキッチンからの排水は、有機物を多く含むため、堆肥の原料や肥料として利用されることがありました。

これを適切に処理することで、土壌の質を向上させることができました。


(3)循環型の生活

現代のような下水処理設備や化学肥料が普及する前、人々は自然との調和を保ちながら生活していました。

廃棄物を再利用することで、自然資源の無駄を減らし、持続可能な生活を営む工夫をしていました。


(4)近代化の影響

20世紀に入ると、都市化や工業化の進展により、化学肥料や下水処理の技術が進化しました。

これにより、し尿や生活排水を直接的な肥料として使用する習慣は減少していきました。


■現代の取り組み

最近では、持続可能な生活や循環型社会の重要性が再認識されてきています。このため、昔のような方法を参考にした廃棄物の再利用や自然の循環を考慮した生活スタイルが見直されているところもあります。

昔の生活様式やリソースの管理方法から学べることは多いです。持続可能な社会を築くために、過去の知識や経験を活かすことは非常に価値があります。


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